正頭英和先生&行正り香 特別セミナー「小学生に英語をどう学ばせると良いか?」

正頭英和先生セミナー 

この記事は、2023年2月18日にカラオケEnglishローンチ5周年を記念してzoomにて開催された【正頭英和先生&行正り香 特別セミナーの内容をまとめたものです。

正頭英和先生プロフィール

立命館小学校教諭。関西外国語大学外国語学部卒業、関西大学大学院修了(外国語教育学修士)。

2019年「教育界のノーベル賞」と言われる「Gloval Teacher Prize(グローバル・ティーチャー賞)」トップ10に、世界約150カ国・約3万人の中から、日本人小学校教諭初で選出される。

「英語」に加えて「ICT科」の授業も指導する。AI時代・グローバル時代の教育をテーマにした講演も多数。著書は「子どもの未来が変わる英語の教科書」、「音読指導アイデアBOOK」など多数。
桃鉄教育版エデュテイメントプロデューサー。

正頭英和先生

⒈小学生に英語をどう学ばせると良い?

①小学校低学年〜歌やダンス、アニメ

行正)娘たちが小学生のころ英会話やプリント式の塾に通わせていましたが、5−6年経っても英語を何もも学べていないことにがく然としました。

そのとき「英語は人任せではだめなんだなぁ」と思い、カラオケEnglish を作りはじめました。

正頭先生の考える、小学生に英語を学ばせるにはこの方法が良いという「道すじ」があれば、教えて頂けますか。

正頭先生)何歳でスタートするかによってちがいます。

幼稚園、保育園児や小学校1−2年生ならば歌やダンスからスタートするのが良いです。

アニメもいいと思います。アメリカの「パウ・パトロール(PAW Patrol)」などの英語版はYouTubeで観ることができます。

英語は将来役立つからと、低学年から机に向かってガリガリ書かせるのはおすすめしません。

行正)私も子どもたちには「アニメ(例リトル・マーメイド)を、英語で見るなら何時間観ても良いよ」と言っていました。

 

②小学3年生以降〜音読で英語の土台「リスニング」を伸ばそう!

行正)歌やダンスで英語を好きになって英語の音に慣れてきたあと、小学校3年生くらいからはどう学ばせれば良いでしょう。

英語の4技能「聞く、話す、読む、書く」のうちどの順番が良い、などはありますか。

正頭先生)まずお伝えしたいのは、「4技能すべての土台は、リスニングである」ということです。

リスニングが英語のすべての根底にあります。

でも日本の英語教育では「聞く」が圧倒的に手薄になりがちです。

そこを学校まかせにせず、いかに家でインプットをするかが大事だと思います。

 

行正)「聞く」に関して先生は本も書かれているように「音読」をとくに勧めていらっしゃいます。

子どもの「聞く力」を伸ばすためには、具体的に何をすれば良いでしょう。

 

正頭先生リスニングはとても重要ですが、「飽きやすい」欠点があります。

子どもたちが「聞いてばっかり、やだ」となる。

そこで、次の一手として「音読」をお勧めしています。リスニングを効果的に鍛えてくれるからです。

「音読」は4技能をバランスよく鍛えてくれる

正頭先生)繰り返しますが、英語のすべての根底はリスニングにあります。

音読が「聞く力」を伸ばすのに効果的なのは、科学的にも証明されています。

もちろん、音読だけやっていれば英語力が伸びるなんて甘いことではないですよ。

でも、世界中にいくつもある学習法の中から一つだけ選べと言われたら、僕はまちがいなく音読を勧めています。

音読がいちばん効果的だと思います。

なぜなら、音読はほぼ全ての英語の技能を鍛えてくれるからです。

ライティングは音読だけでは難しいとしても、「リスニング、リーディング、スピーキング」の3つの分野は音読でバランスよく伸びます。

音読をして聞く力が伸びていることを実感すると、子ども達は「じゃあリスニングをもう一回頑張ってみよう」となります。

良いサイクルが生まれる意味でも、やはり音読は重要だと思います。

⒉音読のメリット〜脳内でおきている音声化の話し

行正)「カラオケEnglish」で何をやっているかというと、「音読できるまでのアシスト」です。

音読って実はとても難しいですよね、英語が読めることが前提なので。

とくに小学生の場合、英文をスラスラ読めないことがほとんどです。

でもカラオケEnglishなら、英語が読めなくても「音マネ」からはいって短文を読めるようになって、次に長文を読めるようになって、音読までできるようになる。

ここまでくるとその先は、娘たちを見ていてもまぁよく音読をして学ぶようになりました。

英語にとどまらず、プログラミングでも生物学でも何でも、すべての分野においてです。

その姿を見て「音読をすることによって、自分の声を先生代わりに脳に入れて学んでいくのかな」と感じました。

 

正頭先生)音読って「声を出す」と想定されがちですが、じつは私たちは文字を読んだ時にも脳内で「音声化」をしています。

「あ」の文字を見たら、頭の中で「あ」と再生しています。

見た情報が脳内で音声化され、それを聞くことによって「これは『あ』だ」と認識するスピードが速くなる、というメカニズムがあります。

つまり文字を読むだけで、どっちみち「音読に近い作業」が頭の中で行われているんですね。

なのでさらにそれを実際に声に出す(音読する)ことで、どんなメリットがあるかというと

・周りの大人にわかりやすい(指導しやすい)

・発音を耳でフィードバックをしながら学べる(脳内の発音だと間違っている場合がある)

脳の回転が速くなる、脳の活性化、認知症予防

などです。

音読は、教科や年齢を問わず効果的で魅力的な学び方だと思います。、

⒊音読の弱点は「飽きる」〜カラオケEnglishの良い点

行正)おっしゃる通り、音読はとても効果的な方法だと思います。

私はむしろ、音読でしか英語を学べませんでした。

黒板を写したり先生の文法説明を聞いたり、問題を解くだけでは気が遠くなるほど眠くなったんです。

でも留学時代に、音読だけは眠くならないと気がつきました。

正頭先生)そうなんですね。

でも音読ってじつは、眠くなりやすい、飽きやすい勉強法だといわれているんですよ。

行正)なるほど〜。

正頭先生でもカラオケEnglishが素晴らしい点は、ちゃんと音読へのフィードバックがあるところです。

ゲーミフィケーションの話に似ているのですが、なぜ大人も子どももゲームに夢中になるかというとフィードバック機能があるからです。

*ゲーミフィケーションとは、「レベルアップ」「スコア競争」などゲームの要素を盛り込むことによって熱中度を高め、学習や目標達成へのモチベーション向上を図る取り組み。

例えばコインをとったらチャリーンと音がしたり、ボタンを押したらジャンプしたり、倒したらおめでとうといってくれるなどです。

人は、何かをすると必ずフィードバックが欲しいんですよね。

ドリルだったらマルやバツで結果のフィードバックがありますね、紙だけど。

ところが音読をやっても、誰もフィードバックをしてくれない。

だから飽きるんですよね。

でもカラオケEnglishは、音読に対して音やスタンプでフィードバックをしてくれますから。

そこが斬新だなと思います。

行正)ありがとうございます。

私も娘にどうしても音読をして欲しかったのですが、問題が2つありました。

・飽きる

・そもそも、英語が読めない

です。

英語の塾に5年通わせても、Hello,I’m from Tokyo. なんかがほぼ読めませんでした。

ならば音を聞かせて「音読した感じ」を楽しませて、ピンポーンの音やスタンプでフィードバックしながら続けさせて、なんとか音読できるまでアシストしようと思いました。

まさにカラオケEnglishは英語ができない、英文を読めない子ども」をベースに作ったわけです。

正頭先生そうしないと、音読って飽きちゃうんですよね 笑

行正)ですね。

でも、飽きるのは子どもも大人も一緒かなと思います。

そこをどう続けるか?続けさせるか?が大きな課題ですね。

⒋モチベーションを上げるには?〜ごほうびに罪悪感をもつ保護者にお伝えしたいこと

正頭先生)どう続けさせるかを考えると「モチベーションをどう上げるか?」が課題になりますね。

大人は英語を勉強する理由を、仕事や昇進などの「損得」で考えることができます。

でも、子どもはそれではモチベーションを保てません。

子どもが勉強する理由は「楽しいか、楽しくないか」なので、楽しさの演出はあったほうがいい。

行正)そうですね。

私も「続けさせられるかどうか」が一番大きなポイントだと思います。

娘の時は、いくらカラオケEnglishを作っても「スタートボタンを押して子どもに渡し、ごほうびを事前に伝える」ところまで、親がしないとダメでした。

スタンプをいくつ集めたら「YouTubeを観てもいいよ」とか「いくらあげるね」などのニンジンを、常にぶら下げたんです。

なぜなら、そうしないと「世の中のトップ数パーセント以外の子どもは勉強をしない」と気がついたからです 笑

正頭先生)おっしゃる通りです。

少し専門用語になるのですが、やる気を出させる方法には2種類の動機づけがあります。

①外にニンジン(ごほうびや罰)をぶら下げる→外発的動機づけ

②内面からの本質的な楽しさや興味が源になる→内発的動機づけ

はじめから「内発的動機づけ」で勉強できる子はほんの数パーセント、宝くじに当たるぐらい確率が低いです 笑

そして、外発的動機づけの話をすると「それって勉強の本質じゃないよね?」と心配される保護者の方がかならずいらっしゃいます。

でも、そこは安心して頂いて大丈夫だとお伝えしたいです。

なぜなら、動機づけの研究において「外発的動機づけを続けていくと、いづれ内発的動機に変わる瞬間がくる」と明らかになっているからです。

何かで「釣る」ことに罪悪感をもつお気持ちもわかりますが、最初は外発的動機づけでもいずれ内側からの興味や探究心が湧いてやる気も上がります。

だから、怖がらなくて大丈夫ですよとお伝えしたいですね。

正頭英和先生セミナー 

⒌英語の4技能を学ぶ順番〜ライティングは急がず最後で良い

行正)小学校へのカラオケEnglish導入が増えて授業を拝見する機会も多くありますが、ライティングを急ぎすぎな面があるのかなと感じます。

「早くアルファベットを覚えさせて、単語も書かせなきゃ」と先生が苦労していらっしゃる。

母国語を学ぶ方法が理想だと考えると、

・3−4歳までは鉛筆を持たないでとにかく聞いてしゃべってマネをする

・2,000語〜3,000語ワードを覚えた頃にはじめて書く練習を始める

のが良いかといます。

先生は4技能を学ぶ「順番」についてどうお考えですか?

正頭先生先生のご苦労もよくわかります。

学校で書くことに偏りがちなのは、理由があります。

ライティングは可視化しやすく採点しやすいのに対し、スピーキングは音声なのですぐ消えて評価がしにくいからです。

正頭先生)でも保護者の皆さんには、ライティングを学ぶのは、最後で良い」とお伝えしたいです。

4技能のうち「書く」は一番後に残しておいて大丈夫です。

なぜなら、教師からみると高校生や大学生になって論理的思考力がついてからの方が指導しやすく、効果が出やすいと感じるからです。

 

⒍ICTを活用した学習〜「親が教わったように、教えない」

 

行正)よく先生は「ICTを活用した英語学習法(パソコンやタブレット等)がなかった時代と今とでは、学び方を変えるべきだ」と仰っていますね。

*ICT(アイシーティー)は「Information and Communication technology」の略称で、「情報通信技術」のこと

正頭先生最近盛んに「リスニングが大事、音読が大事」と言われていますが、実は「音で学ぶことが大事だ」という研究結果は1950〜’60年代には分かっていました。

そして今後100年経っても、音声で学ぶことの重要性はきっと変わらないでしょう。

ではなぜ今、音で学ぶことが注目されているかというと理由があります。

ICTがなかった時代は、先生が宿題で音声を扱うことは不可能でした。

家でできるのは、読むことと書くことだけだったんですよね。

その後CDが普及し始めましたが、全員に配るにはコストがかかるため音声を聞くのはやはり学校だけ。ネイティブの音声に触れることができませんでした。

ところがテクノロジーが発達して、今やポケットに入れたスマホのYouTubeなどで簡単に英語が聞けるようになりました。

そこで改めて先の理論に基づいて、「英語の音声から学ぼう」という流れが強くなったわけです。

 行正)なるほど。

正頭先生)ここでお伝えしたいのは、「親が教わったように、教えてはならない」ということです。

親ってなぜか教わったように教えちゃうんですよね…「単語を100回書いて、覚えなさい」とか 笑

でもそれは昔の思い出話しです。親の成功体験は忘れましょう。

今の子ども達には親世代とは全くちがう勉強方法があって、しかもそっちの方が効率的です

だから、親が教わったように教えてはいけません。

親がマインドを変えていかないと、同じ歴史を繰り返すことになります。

行正)授業を見学に行くと、昭和の時代と変わっていないことに驚かされます。

先生の文法説明を聞いて、黒板に書かれたことを黙ってノートに写しています。

声に出すのは授業時間の7分の1、8分の1くらい…。

正頭先生)変わらないんですよね〜、いろんな事情があるのは分かるんですが。

電車などで単語帳をめくっている高校生に出会うと「もったいない!それだと一生音声を聴かないままだよ」と思います。

今はスマホに無料で聞ける英語の音声があるし、百円ショップでイヤホンも買えるのに…と

行正)そうですよね。

親が子どもに合うICT教育を選んであげることが大切ですね。

まずは「紙と鉛筆に頼らない」、そこだけを禁止するのもシンプルでわかりやすいと思います。

⒎創造力を育てるには、自由よりも制限を与える

正頭先生創造力や発想力を鍛えるためには「適切な制限を加えると良い」と思っています。日本で生まれ育った子どもたちには特に。

たとえば授業で「今の曇りの天気を、自由に表現して」と言うと「え、表現…どうやって?」と戸惑います。

ところが同じ天気について「五七五で表現して」と言うと、子どもは競ってやりはじめるんです。

「自由に表現せよ」と言われるとやる気が出なくて、制限(ルール)を与えられた途端にやりたくなる。

人が創造力を発揮するのは、じつは基本的に「何かを制限された時」なんですよね。

これは、ほかの勉強にも活かせると僕はずっと思っています。

・道具、時間、環境などに何かしらの適切な制限をしてあげる

・すると子ども達は創造力を膨らませてくる

自由にさせるのではなく「何を与えないか、何を制限するか」を考えると、子どもたちの創造力はどんどん広がると思います。

さっき行正さんのおっしゃった「紙と鉛筆を使わずに勉強してごらん」もそうですよね。

保護者の皆さんの参考になればと思います。

行正)私も表現力に関して、アメリカ留学で衝撃を受けたことがありました。

「君はこの絵に関してどう思う?」と聞かれて、どうまとめればいいかわからずポカンとしていたら「頭の中にチャート(表)を作れ」と言われまして。

「色・形・表現方法・大きさ・作家の伝えたいこと」などに分解してから話してごらん、と教わったんです。

そこからは分解さえできればいくらでも自分の考えを膨らませて、自由に表現できるようになりました。

日本では「どう思う?感想は?」と聞かれると、どうしたらいいか困って「よかったです、おもしろかったです」で終わってしまう。

多くを教え過ぎる反面、最後に表現するところでヘルプがないから子どもが固まってしまうのかな、と思いました。

正頭先生)そうですよね〜。この話は何時間でも行正さんと話せそうです 笑

少し余談になりますが、最近はビジネスの世界でも盛んに「アート思考」が言われ、感性を育てようとしています。

日本人は美術館に行っても絵を鑑賞せず、横の説明書きの方を長時間見ているという研究結果があります。

海外で「日本ってどんな国?」と聞かれてなかなか答えられない、という話しもよく聞きますね。

どんなに英語を学んでも、日本人としての土台や感性も鍛えないといずれ限界がきて、「英語は話せるけど海外には適さない」という壁にぶつかるかもしれません。

そんなことも頭の片隅において頂ければなと思います。

 

正頭英和先生セミナー 行正り香

⒏AI時代、英語ができるとどんな良いことがあるか?

 

行正)保護者の方が知っておくと良いと思うことの一つに「AI時代に英語を学ぶことの意義」があります。 

娘たちの英語教育に関しては私が完全にレールを敷いて、その上をきっちり走らせました。

なぜなら、自分の実体験から「英語を学ぶと得である」と知っていたからです。

でも最近の保護者の中には「AIの時代で翻訳アプリもあるから、英語はそんなに勉強しなくてもいいのでは?」と言う方もいらっしゃいます。

先生は、英語ができたら未来にどんな世界が広がるとお考えでしょうか。

正頭先生)大きく3つお話しします。

①謎の自信がつく

②チャレンジしやすい行動力がつく

③自分を受け入れてくれる国に出ていける

です。

 

謎の自信がつき、行動力が上がる

正頭先生いきなり抽象的な話になるのですが、英語ができると謎の自信が生まれます。

不思議とプライドや行動力が高まったりしますね、「外国人と話したい、海外へ行ってみたい」のような。

これからの時代は「行動力」がめちゃくちゃ大事になります。

・行動しない人は「あまり価値がない」とみなされる

・頭の中でいくら考えていたとしても、表現しないと意味がない

という時代が、すでに来ています。

AIが発達したということは、基本的に人間に許されているのは「失敗」です。

その人らしい癖やミスは人間にしか出せない独自のものだから、失敗にこそ個性が出る」ととらえられるようになります

逆に成功ばかりの人は「機械かな?」と思われちゃうので、もはや「行動して失敗する」ほうが価値がある。

失敗が許容されていることを含め、英語は言葉なのでチャレンジしやすいです。

世界に出て行きやすくもなりますから、どんどん英語にリソース(時間・お金)を張って良いし、そのほうが得をするなと思います。

自分を受け入れてくれる国に出ていける

正頭先生)日本って生きづらい国…なんですよね。

なぜかというと、一億のコミュニティーしかないからです。

人は何のために生きるのか?…僕はコミュニティーに答えがあると思います。

つまり人は所属する集団の中で生きる力をもらったり、生きる価値や楽しさをみつけたりします。

でも日本は習い事をする文化が少ないことから、コミュニティーが「家族と仕事、学校」などに限られる傾向があると言われています

もしそのコミュニティが不和を起こすと、他に選択肢がないために生きづらくなって命を絶つなど、悲しすぎる結末が起きてしまう。

ところが世界に目を向けると、自分を受け入れてくれるコミュニティーなんていーっぱいあります。

例えばLGBTQなら、アメリカやヨーロッパでは街全体の規模で受け入れてくれる場所だってありますよね。

でもなぜそこを見つけられないかというと、英語が話せないから。

英語を話せると「海外に逃げる」という選択肢が生まれるんです。

僕が最近よく言っているのは、「世界で活躍するための英語」もいいけど

・命を守るための英語、ディフェンス(防御)としての英語

・自分が幸せになれるコミュニティーを探すための英語

の重要性についてです。

「世界にはあなたを受け入れてくれるコミュニティーが必ずある。でも英語がハードルになってそこに行けないのはあまりにも寂しい。だから、英語を頑張ろう」と伝えたいです。

行正)本当にその通りですね。

英語ができたら、コミュニティーもマーケットも世界が10倍20倍と広がります。

そのためには、親が覚悟を決めて子どもをアシストすることが大事ですね。

アシストして英語ができるところまで連れて行けたら、あとは生きる世界がばーっと広がりますから。

生き抜く力をつけるために、ぜひ英語を学んでほしいなと思います。

正頭先生)AIがいくら発達しても、機械ではコミュニティーに所属できません。

例えば国際結婚のパートナー同士で、機械翻訳だけで会話している人ってたぶんいないと思います。

まちがってもいいから「自分の言葉」で伝えることが大事ですね。

つたない英語や日本語で、ぎこちないながらもコミュニケーションを機械を通さずにやる。

それがコミュニティーを広げるうえでとても重要だと思います。

「機械に頼るのではなく、機械を道具として上手く使いながら、短時間で効率的に英語力を伸ばしましょう」というのが、僕のスタンスです。

⒐英検を学ぶと得をする?

行正)私は娘の受験に際し、英検2級だと内申点が1点上がったり、1級をもっていると英語の受験が免除されたりすると気が付きました。

娘には楽に受験をして欲しかったので「英検をとったほうが良い」と逆算し、どの時期までに何級を取得するか計画的に考えました。

親はどこかでそういったことを意識して目標をたてる方が得をするなぁと思うのですが、先生は検定試験についてどうお考えですか?

立命館小学校でも、以前はそうやって目標を立てて学ばせていましたよね。

正頭先生)今は、立命館小学校では英検をやっていないんですよ。

たしかに試験(外発的動機づけ)で伸ばすのは一つの効果的な方法ですが、全てではありません。

子どもは伸び方のタイプや好き嫌いも異なりますし、テストは「劇薬」でもあります。

学校で一律にやるのが難しい理由に、

合格不合格(勝ち負け)は子ども達に影響が出やすい

今の子ども達は親世代に比べてより敏感で傷つきやすい

・必要以上に落ち込んでしまうこともある

などがあります。

そこに対し学校がきちんと保護体制が取れるどうか、慎重になる必要があります。

なので今は、英検をマストで取り組む学校は減っているかなと思います。

だからこそ家庭では保護者の皆さんがアシストして、お子さんの特性をみながらご判断されるのがいいかと思いますね。

行正)そうですね。

検定試験のレベルまで親が引っ張ってあげて、過去問を試して「できそうだな」となったら受験させる。それが大事ですね。

 

⒑行正流!受験ではプランAとBを用意する〜心理的安全性の話

正頭英和先生セミナー 行正り香

行正)私は娘の受験に際しては、常に「プランAと、プランB」をつくってあげます。

プランAは「たまたま合格したときの道」、反対にプランBは「不合格だったときに実施する計画」です

正頭先生)へえ〜すごい。

たとえば、

・長女(アーティストになりたい)の場合、不合格になった時もこうすればアートの道が開けるかもよと示してあげる

・次女(カメラマンになりたい)の場合は、カメラマンになるためにはスライダーなど撮影道具が必要だね、不合格の時にはその道具を買ってあげる

と、前もって伝えるようにします。

なぜそうするかというと、受験が終わってから考えるのでは遅いからです。

受かる受からないは、常に50対50の確率でやってきます。

だから「もしかしたら、落ちたほうが良いんじゃないか?」と思わせるくらいの、具体的な道すじやごほうびを揃えてあげるんです。

正頭先生)めっちゃいいですね、それすごいと思う。

なぜなら、心理的安全性(心が安心安全な状態)が子どものパフォーマンスを一番高く発揮させるからです。

もちろん親の本音は「合格してほしい」ですよ。

でも合否の前に一番の望みって「実力を全部発揮してほしい」…じゃないですか?

「実力を発揮できず不合格」が一番悲しいことで、「実力を発揮して不合格」ならある意味踏ん切りがつきます。

実力を発揮するためには、心理的安全性を確保するのが一番大事なんです。

だから、お子さんにプランAとBを示してあげるのはすごく素敵だ思いますね。

行正)はい。

「どちらの世界に行ってもきっと面白い世界がひろがる」という話しを、受験前にしてあげるのが重要だと思います。

不合格でもいい、大学に行かない道でも良いから、その場合は「どういう職人さんについて何を勉強すれば道が開けるか」を細やかに示してあげる。

「カメラはこれを買おう、スライダーはこれを買おう」と具体的に話し合い、子どもがプランBをビジュアル化できるまでアシストすることが大切だと思います。

そう考えると「教育って意外と人任せにできないなぁ、難しいなぁ」と感じます。

塾や先生任せにしたいけれど、子どもの心理などはやはり親が話し合ってあげないといけないな、と。

ちなみに仏教では「子どもは25歳くらいになってやっと育つ」と言うそうです。

アメリカは18歳になたら「はい成人です、さようなら」ですが、仏教では「人間は25歳になってやっと独り立ちできる」と説かれていると、どこかで読みました。

まさにその通りで、そこまでは常に親のアシストが大切だなと思います。

正頭先生)そうですね。

信用する」と「放任する」って紙一重なんですよね。

「疑う」と「伴走」するも紙一重です。

僕はよく保護者の方に「子どもを信用する」って言葉に逃げないほうがいいですよ、と言います。

「信用する」はアクションで言うと目を閉じる行為で、「疑う」は目を開けてその子をじっと見る行為です。

「疑う」というと言葉は悪いけれど、閉じるか開けるかで言うと目を開けてちゃんと見守るほうがいいです。子どもは必ず伸びますから。

「信じて何もしない、放任する」は、子どもにはあまり良くないと思います。

この点は、保護者の方にも覚えておいて頂きたいですね。

質問1〜指導要領に沿って指導すれば、小学校と中学校での連携はできますか?

正頭先生理屈上は、小学校と中学校の連携はできています。

「小学校ではこの表現を習っているはずだ」という前提で「中学校ではこれをやります」という流れでカリキュラムが作られていますので。

ただ高校になると、指導要領はあるのですが学校ごとのアレンジが入るので、厳密な連携ではない場合もあります。

というのも高校では生徒の理解レベルに応じて、再度ABCやbe動詞から学ばせたりさまざまだからです。

でも小学校と中学校に関しては、まちがいなく連携していると認識していただいて大丈夫だと思います。

 

質問2〜英検以外の英語力をみるテストについて

正頭先生)客観的に英語能力を測る試験としては、英検、英検Jr.、TOEFL、TOEFL primary、TOEIC、IELTS、GTEC(学校向け)などがあります。

調べて頂くとたくさん出てくると思います。

最も受験者が多いのは英検ですね。

行正)検定料が英検は5級4,000〜準一級9,800円ですが、TOEFLは35,000円くらいですね。

なので最初からTOEFLなど検定料が高いものを目指すのはもったいないな、何度か英検を受けてからの方がいいかと私は思いますね。

正頭先生TOEFLは全世界のテストなので、長文読解では英語は読めるけど内容の理解が難しいともあります。海外の文化についてなどと書いてあるので。

行正)そうですよね、TOEFLは事前の対策が必要です。

質問3〜英語に苦手意識のある小学4年の息子、英語に興味をもたせたい

ご質問〜今は気分がのれば通信教材をやるといった感じです。英語に興味をもつスイッチはどうやったら入るでしょうか?

正頭先生)英語をやってるんだけどなんだか乗り気じゃないんですね。

子ども達のやる気がないときは、外発的動機づけが使えかもしれません。

たとえばYouTubeが好きな子だったら「英語をこれだけ頑張ったらYouTubeみてもいいよ」も一つの方法です。

あとは、体験の中に英語を混ぜていくのも効果的かと思います。

例えば保護者の方がもし英語を話せるんだったら、子どもと一緒にオールEnglishでクッキングをしましょう、みたいなことも効果があると思いますね。

またゲーミフィケーションの文脈でお勧めするなら、「英語の勉強をしたらスタンプ一個あげる、10個貯めたら素敵なレストラン連れて行ってあげる」といったポイント制もありです。

*ゲーミフィケーションとは、「レベルアップ」「スコア競争」などゲームの要素を盛り込むことによって熱中度を高め、学習や目標達成へのモチベーション向上を図る取り組み。

なぜ子どもがやる気をなくすかというと、頑張ったことが可視化されないことが原因の一つです。

「頑張ったけど、これ僕の力になってるの?」と分からないのが、一番辛いんですよね。

でも英語の勉強って、そんなにすぐ力になっているかどうか分かりません。

1ページやったから何か力がつくか?というとそんな単純なものではないですね。

だからこそ、シールやスタンプなど何でもいいので、可視化してあげることが重要です。

スタンプなんて昔ながらですけど、意外と効果的ですから使ってみて下さい。

ここが正念場だと思います。

英語は続けることが前提の強化ですので、親が怒っちゃダメですよ。

ゆったりでも続けていけるようなアシストが重要かなぁと思います。

やる気は必ず戻ってきますので!その時まではちょっと辛抱しましょう。

正頭英和先生セミナー 

質問4〜文法を楽しく学べるオススメの方法は?

正頭先生)オススメの方法はないんですけど、基本的に「文法は、楽なものである」と思っていたほうが良いです。

自分の本の紹介で申し訳ないんですけども、「子どもの未来が変わる英語の教科書」(講談社)をもしよければご一読頂ければと思います。

その中に文法を楽しく生ばせる秘訣を、具体的なワークといっしょに書いています。

それをみて頂くとどうなるかというと「文法って、楽だよね」となる。

「文法なかったら英語を話すってしんどいけど、文法があるから楽だ」と思わせることが一番効果的なんですよね。

なので、僕が教えている小学校の子ども達はよく「文法すごい、文法楽しい」と言っています。

そんな形になると理想的なので、ぜひ「子どもの未来が変わる英語の教科書」(講談社)をご一読下さい。

質問5〜男子は女子に比べて英会話が継続しにくいと感じるが?

行正)先生はそのようにお感じになることはありますか?また、その場合どうすればいいでしょう。

正頭先生性別に関連したことは非常にデリケートだという前提でお話しますが、やはり性別による差はあると思います。

性別によってコミュニケーションの得手不得手は多少あって、やはり女の子の方がコミュニケーションに長けているところはあって、研究でも明らかになっています。

ただこれは男の子だから女の子だからというよりも、どちらかというと内面的な「女性っぽさ、男性っぽさ」の傾向に由来するものだと僕は思います。

ご質問から察するに男の子の保護者の方かと思いますけれど、

女の子と比較するからしんどいだけで、男の子の中だけで見れば別に問題ではないとは思います。

女の子と比べさえしなければそんなに気にしなくていいんじゃないでしょうか、というのが今僕が考えていることです。

行正)いろんな学校に行って気づいたことは、声変わりの時期から男の子は貝のように口を閉ざすことです。

一旦口を閉ざしたら、もう一度口を開けて英語を声に出すのがとても大変です。

だから特に男の子は「小学3、4年生から声を出して英語を学ばせる(音読をさせる)」と保護者の方が意識してあげて欲しいです。

質問6〜学校では会話中心なので受験が心配。塾で文法を学んだ方が良いでしょうか?

質問「学校ではコミュニケーションが中心の授業のようです。でも実際の受験では文法が細かく問われると思います。塾へ行って文法を学ばせた方が良いでしょうか?」

正頭先生なるほど、切実な悩みですね。

まず大前提としてお伝えしたいのは、学校でコミュニケーション中心に学ばせてもらっているのは、基本的に喜ばしいことだと思って頂きたいです。

なぜかというとコミュニケーションの授業は、対人の中でしかできないからです。

家で一人ではコミュニケーションはできないですよね。

学校でやるべきなのは文法をガンガンやることではなくて、たくさん英語を使ってコミュニケーションすることだと僕は思っています。

そのうえで、文法が足りてないのでは?という点に関しては、まず入試問題を一旦ご覧になって頂くといいかもしれません。

特に公立高校の入試問題は、以前とめちゃくちゃ変わっています。

どこの都道府県も、文法というよりもコミュニケーション重視の問題が増える傾向にあります。

なので、そこはあまりご心配頂かなくて良いかと思います。

一方で、お子さんが私学を志望する場合はちょっと話が変わってきます。

入試問題がコミュニケーション重視の学校もあれば、「いや、うちの学校は文法のできる子どもしか求めていません」という学校もあります。

当然、私学なのでどちらを重視するか決める権利があります。

でも僕は「文法しか求めていない学校に行く価値はないのでは…?」と個人的には思います。

文法を重視する学校に行っても、子どもの幸せな未来はないんじゃないかな、と。

でももし何かの理由でそういった学校を受験する場合は、多少は学校外でも文法を教わる必要があるかとは思います。

繰り返しになりますが「行きたい学校の入試問題から逆算する」が結論です。

そうすれば「今この子に必要なことは何か?」が見えてくるので。

行正)もし文法にお悩みでしたら、カラオケEnglsihもぜひご検討下さい。

会話文だけれども、文法も同時に学べるようになっています。

カラオケEnglishの文法解説を、子どもたちが熱心に勉強して下さっている中学校も多くありますので

質問7〜3歳の息子さん、英語は歌やダンスでだけで良いでしょうか?

質問「10年後の未来にどうしていたいか、イメージできるようでできません。今は英語を楽しむことを中心に、アニメを観たり歌やダンスをするので良いでしょうか?

正頭先生)3歳ならそれで全然、良いです。

行正)そうですよね、私もそう思います。

正頭)一つお伝えするとしたら、「遊びと学びを切り分けない方がいい」と思っています。

僕はエデュテイメントを専門領域にしていて、「エンターテイメントを教育化していこう」とか「教育をもっとエンターテイメント化しよう」と取り組んでいます。

幼児期には遊んでたら、いつの間にか学んでた」みたいなのが最も効果的だと思います。

英語を勉強するつもりはなくて、「アニメを見て楽しい、歌って踊って楽しい!」だけで十分だと思います。

英語の歌や踊りで遊んでいるうちに、突然お父さんお母さんに向かって英語を喋ることがあると思うんですね。

わかっているか分かってないかは置いといて、例えば「テンキュー」とか。

その時に「英語話して偉いね」じゃなくて、子どもと一緒に面白おかしくするのが良いです。

「オ〜〜〜!ユアウェルカム」などと、オーバーリアクションで対応してあげると

・英語を喋るとなんだかお母さんが笑顔になって楽しい

・お父さんがオーバーリアクションしてくれて好き

・普段喋らない言葉を話すから楽しい

みたいになります。

保護者も一緒になって大笑いしながら楽しませてあげるのが、3歳くらいならちょうど良いと思います。

行正)そうですね。

私も先生と夢がまったく同じだなぁと思う瞬間があって、それは先生がとある会で「学びを遊びにしよう」とおっしゃった時でした。

「学びを遊びにする」というのは三歳児だけではなく、多分一生そうだと私は思います。

正頭先生確かにそうかもしれませんね。

行正)一生学びを遊びにして、何かを学ぶ楽しさを感じる。そして楽しむためには工夫がいるよ、と。

たとえば先生ならば、マインクイラフトを使ったり桃太郎電鉄というコンピューターゲームだったり、いろんな方法がありますよね。

そこで私も一つおすすめしたいのは「使う言葉を変える」です。

例えば「勉強しなさい」と言った瞬間、子どもは勉強しなくなりますよね。

勉強と聞いてうれしい子どもが一人もいないんだったら、それを別の言葉にすり変えてみてはどうでしょう。

例えば「勉強した?」を

・「カラオケEnglishで、スタンプ取った?」

・「お小遣い十分にある?ないんだったら稼ぎましょう」

などのように言い換えたり、言葉をすり変えるのも大事かなと思いますね。

正頭先生)そうですね、おっしゃる通りだと思います。

正頭先生プロデュースする教育現場向け「桃太郎電鉄」が登場!

行正)皆さま、学校教育向け「桃太郎電鉄」をご存知でしょうか?

正頭先生いわゆるすごろくゲームで、僕らの年代は子どもの頃に「桃太郎電鉄」を盛んにやっていました。

日本全国をすごろくで旅しながら、その土地の名産品を買ったりする大人気のコンピューターゲームです。

やったことがある方は分かると思いますが、遊んでいるといつの間にか日本の地理や観光名所、物産などを覚えてしまうんです。

こんなに勉強になるなら学校でできればいいな、ゲーム機を買える家庭と買えない家庭があるなら学校でみんなでやりたい、と思って長い間いろいろ動いてました。

そしてこの度2023年4月から、日本全国の学校で無償で使える仕組みができました!

行正)すばらしいです、無償ですからね。

正頭先生)KONAMI の会社に申し込んで頂ければ、どの学校でも利用できます。

先生の負担もほとんどなく、子ども達は楽しくゲームをしながらたくさんの学びがあります。

日本全国に広がると良いと思っていますので、ぜひ保護者の方から学校に問い合わせて頂ければと思います。

行正)その際は「なるほどエージェント!」も無料ですので、ぜひ一緒に話してみてください。

KONAMIさんのような大きな企業がいつか「なるほどエージェント!」にもついてくれると良いな、と願っています 笑

行正)正頭先生、今日は貴重なお話しをたくさんありがとうございました。